第93回日本整形外科学会学術総会 The 93rd Annual Meeting of the Japanese Orthopaedic Association

ご挨拶

丸毛 啓史

第93回日本整形外科学会学術総会

会長 丸毛 啓史

(東京慈恵会医科大学 整形外科学講座)

本学術総会の開会にあたり、開催校を代表いたしましてご挨拶を申し上げます。

始めに、コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げますとともに、未だ闘病中の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、コロナウイルス感染症の対策に奔走されておられる皆様、治療の最前線で尽力されておられる同僚の医療関係者各位には、深甚なる敬意を表する次第です。

まず、本学術総会のオンライン化の経緯についてご説明いたします。本年1月下旬にコロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、オンライン化の準備を開始いたしました。その後、システムの構築等に一定期間を要することがわかりましたので、開会日程を遅らせて、6月中旬に設定したうえで、2月の学術集会運営委員会で、オンライン学術総会の企画案のプレゼンテーションをさせていただきました。そして3月19日の日整会理事会で、オンライン学術総会として開催することが正式に決定されました。通常の学術総会が開催できませんことは、それまで3年近く準備をしてまいりました開催校といたしましては、断腸の思いもございました。しかし、多くの整形外科医が集う本学術総会が万一、感染クラスター発生の場になりますと、公益法人としての社会的責任あるいは全国の整形外科診療への影響は計り知れないものがありますことを勘案せざるを得ませんでした。一方で、延期という選択肢は考慮に入れませんでした。延期する場合は夏休み期間が最有力候補になりますが、1)延期した時に通常の形式で開催できる見通しが立たないこと、2)延期後に中止になると会場等のキャンセルの費用が更に増えること、3)日整会骨軟部腫瘍学会、同基礎学術集会、あるいは来年の学術総会への悪影響が懸念されること、4)夏休み期間は通常、交通費、宿泊費が高額になり会員の皆様のご負担が増えること、5)オンライン学術総会で教育研修講演単位等を十分に取得できること、などが主な理由であります。

オンライン化の過程では、多くの課題に直面いたしましたが、松本理事長を始め執行役員の皆様、理事会の皆様のご厚情と多大なご支援をいただきながら、準備を進めることができました。心より厚く御礼申し上げます。特に松本理事長には、私ども開催校からの多くの提案に対して、その意向を最大限に酌んでいただきながら、大変なスピード感をもってご対応いただきました。限られた時間の中で本当にスムースな準備を行うことができました。重ねて御礼申し上げます。

さて、本学術総会のテーマは、本学術総会の長い歴史と伝統を踏まえながら、臨床医学の礎を見つめ直す思いを込めまして、「学と術と道」とさせていただきました。この言葉は、本学第8代学長の阿部正和先生の著書から、阿部先生の許可を得て使わせていただきました。そこには、「どんなに術に長けていても、その基礎に「学」がなければその「術」は無いに等しい。どんなに深遠な「学」をもってしても、「術」が拙劣であれば患者さんの信頼は得られない。「学」と「術」が優れていても、医の「道」を心得、かつ実践しなければ、よい臨床家ではない。」と書き記されており、臨床医のあるべき姿が述べられています。

本学術総会では、このテーマに沿った基調講演、文化講演、特別講演を始めとして、プログラム委員会、日整会関連委員会・関連学会、そして査読委員、日整会事務局の皆様の多大なご協力により、充実したプログラムを作成することができました。厚く御礼申し上げます。プログラムの多くは、オンラインで視聴が可能になっており、最大28単位の教育研修単位の取得が可能です。講演者の皆様には、大変お忙しいところ、ご面倒な講演のオンライン化にご協力いただき、心より感謝申し上げます。また、日整会骨・軟部腫瘍特別研修会、日整会研修指導者講習会、日整会小児運動器疾患指導管理医師セミナーも開催いたしますが、いずれも公式開催として認定されています。その他、バーチャル展示会、大学対抗e-sport大会など、楽しい企画も取り入れています。

今回のコロナウイルス感染症のパンデミックは、第二次世界大戦後の世界で最大の危機ともいわれ、パンデミック後の世界は、既存の社会構造や社会全体の常識あるいは価値観が覆るような、いわゆるパラダイムシフトが生じるとも言われています。既に、ウイルス感染防止と経済・社会活動の維持というトレードオフの関係を、仕事、教育あるいはコミュニケーションのデジタル空間への移行によって乗り越えようとする試みが進行しています。少し前までは、世界はますますグローバリゼーションが進み、ヒト・モノ・カネの流れが加速化すると言われていましたが、ものすごい勢いで逆回転を始めています。こうした国家あるいは世界レベルの大きな変革が予想されるなかで、整形外科の学会もそれに相応しい在り方を模索していく必要があると思います。今回の学術総会のオンライン化はある面でこれからの学会・研究会の在り方を先取りしたものでもあるとも言えます。是非、このオンライン学術総会の視聴と体験を通じて、忌憚のないご意見、ご批判をいただきながら、前向きな議論をすることで、本学術総会あるいは整形外科関連の多くの学会・研究会の新たな姿を皆様と共有できればと思っております。

最後にお知らせですが、会長講演の演題名を変更し、「2020日整会学術総会-幻の福岡開催計画-」とさせていただきました。通常開催であればこんな学術総会であったという内容ですが、20分ほどの短い講演です。専門医単位には認定されませんが、聴講いただければ幸甚です。

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