【不妊症の検査】男女ともに受ける必要があります
このページでわかること
- 不妊検査は妊活開始から1年を待たず早めに受けましょう
- 女性の不妊検査は月経周期に沿って行います
- 男性の不妊検査はいつでも行えます
不妊症は男女関係なく起こります。
検査によって原因を突き止めて適切な不妊治療を行わなければ、時間を無駄にしてしまうことも。
しかし男性の不妊検査の受診率は低く、リクルートによる調査では男性不妊の代表的な検査である精液検査を受けたことがある人は13.0%という結果が出ています。
女性のみの検査が多い中、女性に不妊の原因が見つかったとしても男性に不妊の原因がないとは言い切れません。
男女別不妊の割合では半数にあたる24%が男女ともに原因があるとされています。
男女ともに不妊の原因を持っている可能性があるからこそ、パートナー同士で検査を受けて原因を理解し、最適な治療をおこなう必要があるのです。
保険の適用
不妊検査は検査の種類や回数、目的によって保険が適用する場合と適用しない場合があります。
検査を受ける前に、受診する病院へ検査費用を確認しておきましょう。
助成金の受給
国や都道府県、市町村単位で、不妊検査や治療の費用を一部助成する制度を設けています。
お住まいの地方自治体の助成制度を調べておきましょう。
不妊検査は妊活開始から1年を待たず早めに受けましょう
年齢 | 妊活期間 (不妊検査を行う時期) |
---|---|
35歳以下 | 1年間 |
40歳以下 | 6ヵ月 |
40歳以上 | 3ヵ月 (子供が欲しいと思ったら) |
1年以上妊活を行っても赤ちゃんを授からない場合に不妊とされます。
不妊となってから治療を行うために検査を受ける人が多くいますが、不妊検査はできるだけ早めに行うのがおすすめです。
女性は35歳を境目に妊娠率が急激に低下していきます。
35歳以下であれば1年、40歳以下であれば6ヵ月、40歳以上であれば3ヵ月の妊活を行っても妊娠しなければ不妊検査を受けるようにしてください。
不妊検査の時期は目安であり、妊活期間に関係なく不妊検査は受けられます。

また、不妊検査を早めに受けた方がいい理由の一つに不妊検査にかかる時間があります。
男性の不妊検査は最短1日で終わりますが、女性の不妊検査は月経周期に沿って行われるため最短でも1ヵ月はかかります。
タイミングわるく検査を受けられなかった場合、次の周期にずれ込むためその分検査期間が伸びてしまいます。
検査結果が伸びると不妊治療の開始が遅れて、妊娠までの時間も長くなってしまうのです。
1日でも早く赤ちゃんを授かるためには、もしかして不妊かも?と思った段階もしくは妊娠したいと思った段階で不妊検査の受診をおすすめします。
女性の不妊検査は月経周期に沿って行います
女性の不妊検査の流れ
事前準備→初診→基本検査→追加検査
女性の不妊検査は、事前準備・初診・基本検査・追加検査の4つに分けられます。
いつでも行える検査や月経周期に沿って行える検査があるため、基本検査は約1~2ヵ月ほどかかります。基本検査の結果によって追加で検査を行うことも。
検査の事前準備である基礎体温の測定から始めると、女性の不妊検査は半年以上と長期にわたることがあります。
1.事前準備
内容 | わかる原因 | 時期 | 費用 | |
---|---|---|---|---|
基礎体温 | 検査の2~3ヵ月前から基礎体温を記録。 | 排卵因子 | 事前 | 1,000~8,000円 (体温計代) |
女性の体や妊娠は月経周期が大きく関わってくるため、病院で行う検査の前に自分の月経周期を把握しておく必要があります。
普段から婦人用体温計で基礎体温を記録していることが望ましいですが、記録していない人は最低でも不妊検査の2~3ヵ月前から記録を取るようにしましょう。
2.初診
初診内容 | 問診:診断の参考に医師が患者の病状や病歴を聞く。 内診:指で膣の中の状態を確認。 超音波検査:エコーで子宮や卵巣などに状態を確認。 ホルモン検査:血液検査によってホルモン状態や性病の有無を検査。 |
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---|---|---|---|
価格 | 5,000~10,000円 | ||
時期 | いつでも (おすすめは月経2~5日目) |
※初診料は受ける検査の種類によって大きく変動します。2~3万円を持参することをおすすめします。
不妊検査は月経周期によって受けられる検査が異なります。
初診はホルモン基礎値がわかる月経2~5日目がおすすめ。
しかし初診は周期に関係なくいつでも受診可能です。ただし、生理中は避けるようにしましょう。
初診がどの時期であるかによって、その日で受けられる検査内容は異なります。
もちろんカウンセリングや相談だけでも問題ありません。
初診は夫婦・パートナーとともに受診することが望ましいですが、女性一人でも受診可能です。
検査の結果によって今後の検査予定を組むため、次回からは夫婦・パートナーとともに来院するようにしましょう。
3.基本検査
内容 | 分かる原因 | 時期 | 費用 | |
---|---|---|---|---|
クラミジア抗体・抗原検査 | 抗体は血液、抗原は尿や分泌物を採取してクラミジアの感染の有無、感染歴を調べる。 | 卵管因子 子宮因子 |
初診時 また子宮卵管造影検査前 |
6,000~7,000円 |
子宮卵管造影検査 | 子宮や卵管に造影剤を注入し、X線で撮影・検査。 | 卵管因子 子宮因子 |
卵胞期 | 5,000~8,000円 |
ホルモン検査 | 血液を採取してホルモン数値を出す。 月経中:FSH、LH、E2、PRL 黄体期:黄体ホルモン |
排卵因子 子宮因子 |
月経中 黄体期 |
月経中 2,000~5,000円 黄体期 1,000~2,000円 |
超音波検査 | 子宮や卵管の状態を確認。 排卵のモニタリングも行う。 |
排卵因子 卵管因子 子宮因子 |
排卵期 黄体期 |
1,500~2,000円 |
子宮頚管粘液検査 | 頸管粘膜を採取して排卵時期を予測。 | 排卵因子 頸管因子 |
排卵期 | 500円~1,500円 |
フーナー試験 | 排卵期間に性行為を行い、翌日に子宮頸部の粘膜を採取。 子宮頸部の状態や頸管粘膜と精子との相性を見る。 |
頸管因子 免疫因子 |
排卵期 | 500~1,000円 |
※FSH:卵胞刺激ホルモン、LH:黄体形成ホルモン、E2:エストラジオール、PRL:プロラクチン
2回目以降の受診から不妊の基本検査を行っていきます。
一通りの検査と男性の不妊検査を行い、検査の結果次第で不妊治療へと移行します。
基本検査で不妊の原因が明確に判明しない場合は適宜追加検査を行います。
基本検査は月経周期によって受けられる時期が異なります。
仕事や予定などで適切な時期に検査を受けられない場合は、次の周期で検査を受けるようにしましょう。
4.追加検査
内容 | 分かる原因 | 時期 | 費用 | |
---|---|---|---|---|
子宮体がん 子宮頸がん |
子宮頸管や子宮体の表面をこすり、細胞を採取してがんリスクを調べる。 また超音波検査によって、子宮体や頸管の状態を観察したり厚さを測定。 |
子宮因子 頸管因子 |
任意 | 子宮頸がん 1,130~5,000円 子宮体がん 2,010~5,000円 |
AMH検査 | 卵巣に卵子がどれくらい残っているか調べる。 | 排卵因子 | 任意 | 6,000~7,500円 |
抗精子抗体検査 | 頸管粘液や膣に精子に免疫反応を起こす抗体がないか調べる。 | 免疫因子 | 任意 | 5,000~8,000円 |
甲状腺検査 | 採血をおこない、甲状腺に異常がないか検査。 | 排卵因子 | 任意 | 2,5000~6,500円 |
子宮鏡検査 | 体内にカメラを入れ、直接子宮や卵巣の状態を確認。 | 排卵因子 子宮因子 |
任意 | 2,600~25,000円 |
基本検査の結果によって、さらに検査を受ける必要があります。
追加検査で原因が判明しなくても落ち込む必要はありません。
女性不妊の約半分が原因の分からない不妊といわれています。
原因が分からなくても不妊治療は受けられるため、気を落とさず治療に進みましょう。
男性の不妊検査はいつでも行えます
ホルモンの関係上、体の変化が激しい女性に比べて、男性の体は大きな変化はなく常に一定です。
そのため男性は不妊検査をいつでも受けることができます。
男性の不妊検査は基本的な検査を受け、結果次第で追加検査を行うか不妊治療に移行するかを決めます。
1.基本検査
内容 | 分かる原因 | 費用 | |
---|---|---|---|
問診・内診 | 診断の参考に医師が患者の病状や病歴を聞く。 陰嚢(たま)を触診し、精巣の大きさ、血管が浮き出ていないかを見る。 |
造精機能障害 性機能障害 |
2,000~5,500円 |
精液検査 | マスタベーションにより採取した精液中の精子を調べる。 精液量や精子の数、精子の運動率など精子の質を判断。 |
造精機能障害 | 310~5,000円 |
ホルモン検査 | 血液を採取し、ホルモンの量や感染症の有無を確認。 | 造精機能障害 精路通過障害 |
4,500~15,000円 |
尿検査 | 尿を採取し、血液の状態や膀胱・前立腺などの異常の有無を計測。 | 精路通過障害 性機能障害 |
1,500~6,000円 |
超音波検査 | エコーで精巣や精巣上体、精管などの状態を確認。 | 造精機能障害 精路通路障害 | 1,500~2.000円 |
精液は出し過ぎも溜め過ぎも精子の質を下げてしまいます。
精液検査を行う場合は検査の2~7日前から禁欲を行ってください。
基本検査で明確な原因が判明しない場合は、適宜追加で検査を行うことがあります。
2.追加検査
内容 | 分かる原因 | 費用 | |
---|---|---|---|
抗精子抗体検査 | 血液検査によって抗精子抗体がないか調べる。 | 造精機能障害 | 5,000~10,000円 |
染色体検査 | 採血により染色体に異常がないか調べる。 | 造精機能障害 | 10,000~35,000円 |
精巣生検 | 精巣の組織を採取して、細胞や精子を観察して精子がつくられているかを調べる。 | 造精機能障害 | 約20,000円 |
検査の結果により不妊治療の方向性が決まります。
女性側の結果とともに医師と相談して今後の不妊治療の予定を組んでいきましょう。