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【統合失調症】妄想や幻覚に、自分では気づくことができません

はげしい思い込みによる言動や行動は病気の特徴です

「誰かに監視されている」「自分の悪口が聞こえる」など、実際には起こっていないことを現実のできごととして感じるのは、統合失調症の特徴的な症状です。
また、思考がまとまらず筋道を立てて話すことができないため、日常生活に大きく支障をきたします。

統合失調症の患者数

(参考|厚生労働省「統合失調症患者数」

統合失調症の発症率は高く、100人にひとりが罹感しています。
2008年に行なわれた調査によると、治療中の患者数は79.5万人。
10代後半~30代に多く、男女比は男性:女性=1.4:1と男性に多くみられる精神疾患です。

統合失調症はかつて、精神分裂病と呼ばれていました。
しかし病名が患者の人格否定につながっているという意見の広まりから、2002年に統合失調症という病名へ変更されました。

症状|時期・病状とも段階的に変化します

統合失調症は発症後、時期によって病状が変化します。

症状は陽性症状・陰性症状・認知機能障害の3つで、前兆期・急性期・休息期(消耗期)・回復期の4段階を経て変化していきます。

統合失調症の症状の移り変わり

3つの症状パターンがあります

統合失調症の症状は、陽性症状→陰性症状→認知機能障害と変化していきます。
ただし、ひとつずつ段階を追って変化していくこともあれば、同時に複数の症状が現れるケースもあります。

1、陽性症状

妄想、幻覚(幻聴)、思考の障害など

陽性症状は、精神的な活動が過剰な状態で起こります。

「常に見張られている」「世界中が自分を批判している」「内臓が盗まれている」など、現実的・非現実的な思い込みが続きます。

存在しないものや人物が見える、ないものの匂いや味を感じる、架空の人物の話し声が聞こえるなど、症状はさまざま。

また考えがまとめられないので会話に一貫性がないほか、話しや思考を中断されると言葉が続けられなくなります。

2、陰性症状

感情が希薄になる、表情や口数が減る、コミュニケーションの欠如など

陰性症状は、精神的な活動が著しく低下している状態です。

喜びや悲しみ、怒りなどを感じなくなり、感情の表出や言葉を発する回数が大幅に減少します。
意欲や目的意識も低下するため、一度始めた行動を最後まで続けることができません。

また、肉体的にもエネルギー不足の状態。常に眠く疲れているため、活動量が減って引きこもりになるケースも。

3、認知機能障害

記憶や思考、理解、判断といった能力の低下

物語のストーリーを理解できない、比喩が理解できないほか、手順通りに物事を進められないといった弊害が現れます。
そのため、日常生活や社会生活をうまくこなすことが難しくなります。

・必要な情報を選択し、それに集中できない
 (例)会話中にほかの音が聞こえると、相手の話が理解できなくなる

・過去と現状を比較し、正確な判別ができない
 (例)AさんとBさんが同じ色の洋服を着ているというだけで、Aさん=Bさんと思い込んでしまう

・物事を系統化(グループ分け)して考えられない
 (例)衣服を分類してタンスの引き出しに収納できない

病状には波があります

統合失調症の病状は、4つの時期を経て進行・回復していきます。

1、前兆期

発症のサインが現れる頃。
不眠、ささいな音に敏感になる、焦燥感、気分が変動しやすいといった不調が現れます。

2、急性期(数週間ほど)

陽性症状が現れる時期。
妄想や幻覚、強い不安や緊張、興奮などを生じるようになり、思考や会話に一貫性がなくなります。

3、休息期(数週間~数ヵ月)

陰性症状が現れる時期。
意欲や感情の起伏がなくなり、極度の眠気やだるさから引きこもることもあります。

4、回復期(数ヵ月~数年)

症状が少しずつ収束していく時期。
心のゆとりや周囲への関心を取り戻し始める時期ですが、集中力や記憶力の低下から日常生活に支障をきたしたり社会性が低下したりする場合があります。

前兆期や急性期の早い段階で治療を開始できれば、回復までの期間は短く再発の可能性も抑えられます。

しかし、休息期や回復期に症状を誘発するできごとがあれば、再び急性期に戻ってしまうことも。その分、回復や社会復帰が遅れてしまうため、早期の治療開始と継続が重要です。

原因|遺伝や環境など、いくつかの要因が絡み合って発症します

統合失調症のはっきりとした要因は解明されていませんが、先天的な要因=遺伝的要素や後天的な要因=環境など複数のきっかけによって発症すると考えられています。

統合失調症を発症するきっかけ

精神的な脆弱性(もろさ)にストレスがかかることで発症するという考えを、ストレス・脆弱性モデルといいます。

先天的な原因

統合失調症の原因となる特定の遺伝子は認められていませんが、発症率の統計結果から遺伝的な要因は大きいと考えられています。

遺伝による発症率の違い
家族・親戚に統合失調症の人はいない 約1%
親または兄弟姉妹が統合失調症である 約10%
一卵性双生児のひとりが統合失調症である 約50%

まったく同じ遺伝子を持った一卵性双生児でも、二人とも発症する確率は50%ほど。
また、統合失調症患者の親の90%は発症していません。

病気そのものが遺伝するのではなく、統合失調症になりやすい資質が受け継がれているという考えが正しいといえます。

後天的な原因

劣悪な養育環境や心の安定を保てない親子関係は、発症要因のひとつだと考えられています。

アメリカの精神医学研究者であるグレゴリー・ベイトソンは、ダブルバインドな状況を多用する親に育てられると統合失調症になりやすいと示しています。
(※ダブルバインド=二重拘束状態。2つ以上の矛盾した命令や選択肢の提示によって、精神状態が拘束されてしまう)

いずれも統合失調症を生じるひとつのきっかけであり、決定的な要因ではありません。
ストレスを受けやすい環境に長くいることが、発症のリスクを高めているのです。

脳の異常にも原因があると考えられます

脳の萎縮や前頭葉の小ささや機能の低下など、脳の異常も統合失調症の発症に関わっていると考えられています。

脳の形成を妨げている要因としては、

  • ・胎児期に母親がインフルエンザに感染した
  • ・分娩時に無酸素状態だった
  • ・低体重で生まれた
  • ・母親との血液型不適合

などが挙げられます。

しかし、生まれたときの状態がかならず統合失調症につながるというわけではありません。
発症しやすくなるきっかけのひとつとして、捉えておきましょう。

対策|継続的な投薬と精神的なリハビリが早期回復のカギ

統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会的療法を組み合わせて行ないます。

統合失調症の治療目的

・症状の緩和と安定した状態の維持
・社会生活機能を取り戻す

幻覚や妄想などの陽性症状が現れる急性期には、投薬によって症状を抑えることが最優先。
陰性症状を伴う急性期には、投薬と並行して心理社会的療法を行ないます。

適切な治療を続けると症状は改善し、落ちついた状態を維持できるようになります。
しかし統合失調症は、とても再発しやすい精神疾患。
症状がなくなったようにみえても、完全に治癒しているわけではありません。再発に備えた継続的な治療が必要です。

症状の軽減には抗精神病薬が有効です

抗精神病薬は、脳内物質・ドーパミンの働きをコントロールして感情のゆらぎを穏やかにする目的で服用します。

抗精神病薬にはさまざまな種類があり、陽性症状と陰性症状で使い分けます。
また薬の種類によって用法用量や服薬期間が異なるため、医師の指示通りに規則正しい服用を続けましょう。

陽性症状 陰性症状
商品名 セレネース エビリファイ
ドグマチール リスパダール
コントミン ジプレキサ

心理・社会的な治療によって生活水準の回復を目指します

統合失調症を抱えながら普段通りの生活を送ることはなかなか難しいですが、自分の病気を理解して受け入れることが社会復帰への第一歩。
統合失調症の治療では、再び社会に馴染み、できることを増やしていくためのトレーニングも行います。

社会生活技能訓練(SST/Social Skills Training)

社会生活を送る上で必要な技能を取り戻すためのトレーニングです。
グループで行うロールプレイを通して、良好な対人関係を維持するコミュニケーション能力や病気とのつき合い方、問題が起きた時の対処法といったスキルを学びます。

作業療法

手芸や工芸、園芸、料理、パソコン操作、スポーツなどの軽作業を通して、生活機能の回復を目指します。
また、作業に取り組むなかで喜びや達成感、楽しいというという感情を取り戻せるよう、専門的な作業からレクレーション要素の強い作業まで、さまざまなプログラムが用意されます。

心理教育

統合失調症とはどんな病気なのか?どのように治療していくのか?など、自分が抱えている病気について正しく学ぶことから始めます。
治療の方法や方針について関わることで、治療効果が高まると考えられています。

また家族と同居している場合には、家族を対象に対しても心理教育を実施。
病気への理解やサポート方法などを指導します。

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